目の病気と治療

ドライアイ

Dryeye

ドライアイとは?

ドライアイとは涙の分泌量が減少したり、涙の質が低下することによって、涙が不安定になる病気です。「目が乾く」という自覚症状がなくても、ドライアイであることも多く、症状は多岐に渡ります。以下のチェックリストで5つ以上なら、ドライアイが疑われます。

さらに悪化すると、頭痛がする、頭が重い、肩が凝る、気分が悪いなどの全身症状を呈することがあります。

涙とは?
涙腺から分泌された水分が目の表面を覆い(水層)、目頭の涙道からのどの奥に流れていきます。さらに水層の表面をマイボーム腺から分泌された油分が覆い(油層)、水分の蒸発を防ぎます。水層は角膜表面の潤い成分(ムチン層)により安定し、表面にとどまることができます。涙は油層、水層、ムチン層の3層から構成されます。

ドライアイの診断

フルオレセイン染色検査


正常

涙をフルオレセイン染色液で黄色に染めると、角膜のキズが濃く染まり、ドライアイが診断できます。

ドライアイのタイプと治療

涙液分泌減少タイプ


シェーングレン症候群

シェーグレン症候群、加齢、ストレス、薬の副作用、糖尿病などが原因となり、涙の量が低下するタイプです。シルマーテストで分泌量を測定することで診断できます。シェーグレン症候群は涙液、唾液の分泌が低下する膠原病のひとつで、内科での検査が必要です。

治療保湿成分であるヒアルロン酸が配合された目薬を点眼し、涙液の補充をおこないます。
涙液蒸発亢進タイプ


コンタクトレンズ合併症

コンタクトレンズ、パソコン作業、エアコンの効いた乾燥した空間での仕事などが原因で、慢性的に角膜の表面が障害され、ムチン層が破壊されるタイプです。すぐに目が乾くので、瞬きを10秒以上我慢できなくなります。フルオレセイン染色液を用いたBUT(涙液層破砕時間)を測定することで診断できます。

治療ムコスタ、ジクアスというドライアイの特効薬を点眼し、ムチン層を修復します。
マイボーム腺機能不全
マイボーム腺から油分の分泌が低下すると涙が不安定となり、目が乾きます。マイボーム腺に炎症がおきると、まぶたの充血、不快感などの症状がでます。
治療ホットパックでまぶたを温めることにより、マイボーム腺の機能を回復させます。また、目元専用のシャンプーでまぶたの縁を洗浄することにより、マイボーム腺の開口部を清潔にし、油分の分泌が改善します。
眼瞼摩擦亢進タイプ


結膜弛緩症

まぶたや結膜の組織が加齢により弛緩すると、目の表面との摩擦が強くなり、目の異物感が生じます。ドライアイなのに涙がでる感じがするのも特徴です。まぶたが弛緩すると眼瞼下垂や眼瞼内反症、結膜が弛緩すると結膜弛緩症という病気になります。

治療根治には手術が必要です。

目薬以外の治療

涙は涙道(上記点線)をとおって鼻に抜けていきます。涙道の入り口である涙点をふさぐことによって、目に涙をためることができます。涙点をふさぐ方法には3つあります。

涙点プラグ

プラグで涙点ふさぐことにより、涙をためる治療です。直径約1mmと非常に小さなシリコンプラグを、診察室で挿入します。
1分程度で、簡単に挿入できます。抜去することもできるのでお気軽に受けていただける手術です。

キープティア

プラグに抵抗がある方には、2週間で溶けるコラーゲンで涙小管を満たすキープティアという方法もあります。

涙点閉鎖術

何回、涙点プラグを挿入しても抜けてしまう、という方には、手術で涙点を縫ってしまうこともあります。(元に戻すことはできません)